第104章 この世界はどうなってしまったのか

陳琳嫣は自分の頭が完全に追いつかなくなったと感じた。

盛海洋が心配そうな表情で彼女の後ろを見つめているのを見て、陳琳嫣は最初、彼が林亦に問題を起こそうとしているのかと思ったが、どうもそうではないようだった。

「林亦、どうして外に立っているの？早く入りなさい」呂舒が外にいる林亦に声をかけると、林亦はようやく中に入ってきた。

林亦を見るなり、盛海洋の目が光り、階段を大股で降り、陳琳嫣の前を通り過ぎて、林亦の前で立ち止まり、大きな手のひらを両方とも林亦の肩に置いた。

「君が林亦君だね。今回は本当に助かったよ」

「一昨日は私が悪かった。君と陳おじさんを誤解してしまって、どうか気にしないでほしい」ここまで言って、盛海洋の顔に自責の念が浮かんだ。「私が一時の迷いで、本当に一時の迷いだったんだ」

「盛おじさん、何か勘違いされているんじゃないですか？林亦は、林亦はただの学生ですよ」陳琳嫣は盛海洋の行動を見て、呆然とした。もともと追いついていなかった頭が、さらに鈍くなっていった。

あまりにも常識外れだった。

盛海洋は萬盛不動産明海市支社の総経理として、明海市全域で顔が利く人物だ。盛海洋にこのような扱いを受ける人は、みな大物だ。

しかし林亦は、成績も悪く、イケメンでもなく、家柄もない高校2年生に過ぎない。なぜこのような扱いを受けるのか。

「琳嫣、そんな言い方はよくないよ。林亦君は確かに学生だが、諺にもあるように少年からも英雄は生まれるものだ」盛海洋は少し責めるように陳琳嫣を見た。呂舒は急いで陳琳嫣を脇に引き寄せた。

少年からも英雄？

英雄？

林亦が？

陳琳嫣の心の中は、もはや衝撃という言葉では表現できなかった。彼女が林亦を見ると、この少年は盛海洋の熱心な賞賛に対しても平然とした表情で、笑顔すら見せなかった。

「私に感謝する必要はありません。実際には陳おじの功績です。陳おじがいつもあなたの病状について話していなければ、私も知らなかったでしょう」林亦は謙遜することもなく、盛海洋を平然と見つめた。

傍らで林亦の言葉を聞いていた陳強山は、顔を輝かせ、心の中で賞賛した。

「この林亦も大きくなったな。もう私のために言葉を添えてくれるようになって。以前はそれほど気にかけていなかったが、これからはもっと注意を払わないと」