第111章 サッカー試合の波乱

明海第二中學校のグラウンドでは、中央の演壇に机と椅子が整然と並べられていた。

最前列には40代の中年男性が座り、入場してくる生徒たちを見ながら、隣の中年男性に微笑みかけた。「祁社長、今年は我が校の夏春カップを最後まで見ていただけるとは、本当に光栄です」

「校長先生、とんでもありません。貴校の夏春カップは私が特に支持している大会です。生徒の心身の健康に良い活動には、当然全面的に支援させていただきます」白いワイシャツを着た祁社長は微笑みながら言った。「そうそう、貴校にまた新しいサッカーの天才が現れたと聞きましたが、確か易思城君でしたね?」

「はい、高校2年3組の生徒です。先日、県のサッカーチームに目をつけられまして、来学期には向こうで合宿に参加する予定です」第二中學校の校長である劉伯濤は頷きながら、満面の笑みで続けた。「この生徒は本校が重点的に育成してきた逸材で、もしかしたら顧青海に続く選手になるかもしれません」

祁社長は大企業の経営者で、サッカーに非常に熱心で、以前も学校のサッカーチームに多額の投資をし、顧青海を育て上げ、大きな利益を得ていた。

ここで、劉伯濤は左手にいる張春水に手招きをした。張春水はすぐに駆け寄り、笑顔で「校長先生、お呼びでしょうか?」と言った。

「ああ、祁社長、こちらが易思城の担任の張春水先生です。易思城のことなら、私よりも詳しいと思います」劉伯濤は笑顔で言った。明海第二中學校は以前、顧青海一人のおかげで学校の知名度が大きく上がった。

今回また易思城が出てくれば、明海第二中學校の名声は第一高校を超えるかもしれない。

「祁社長、はじめまして」張春水は祁社長に手を差し出した。

祁社長は頷きながら「張先生、私は常々、生徒は徳智体美労のバランスの取れた発展が重要だと強調していますが、その点で先生は素晴らしい仕事をされていますね。感心しています」

「それと、本日は本来、当社の副社長が来る予定でしたが、急遽、国家サッカーチームの特別コーチのピーター氏が明海に来ているという情報を得まして、観戦に招待することにしました」祁社長は深刻な表情で、意味深げに続けた。「ピーターコーチは以前ヨーロッパの名門コーチで、クリスビルチームで指揮を執り、ロナルシーやチダルなどのスター選手を育て、さらにワールドカップで準優勝も経験した超一流のコーチです」