林亦はボールを持って突進し、鋭い刃のようだった。
そのフォワードだけでなく、傍にいた易思城も反応できなかった。
先ほどの出来事があまりにも速すぎて、易思城は動く気も起きず、林亦が一蹴りで転がされるのを待っているだけだった。
易思城が我に返った時には、林亦はすでにボールを持ってゴールに向かっていた。
二人のミッドフィールダーは林亦が走ってくるのを見て、躊躇なく立ち向かっていった。
「ちっぽけな道化師め」林亦は軽蔑の眼差しを向け、加速しながら、二人のディフェンダーが近づいてきた時、突然急停止し、つま先でボールを左側に蹴り出した。
ボールは二人のディフェンダーの横をすり抜けた。彼らは慣性の法則で体を止められず、ボールが防御線を軽々と越えていくのをただ見つめるしかなかった。
林亦は加速してボールを運び、すぐにペナルティエリアの外に到達した。
七組のゴールキーパーは守備の準備を整え、ディフェンダーたちは一斉に林亦に向かって殺到した。
「素人め、お前たちは私と同じフィールドに立つ資格もない」
「サッカーのボールタッチなど、九玄仙尊様にとっては笑い話にすぎない」
「かつて極微の炎を操って破れた霊丹を修復したことがある。その時必要とした感覚は、お前たちには理解できないものだ!」
林亦は冷たい目でゴールを見つめ、押し寄せてくる数人のディフェンダーを完全に無視した。
足を上げる。
シュート!
ボールは林亦の足の甲に当たった瞬間、一瞬変形した。
次の瞬間、ボール全体が砲弾のように、ゴールに向かって飛んでいった。
弧を描くこともなく、派手な技巧も一切なし。
あるのは速さだけ。
極限の速さ!
バン!
ボールはゴールネットを揺らし、ネットの紐を引っ張って遠くまで飛んでいった。
ゴールキーパーは目を見開き、反応する時間すらなかった。
先ほどのシュートは、何の対応もできないうちに、ボールが彼の横を通り抜けてゴールに突き刺さっていた。
今でもゴールキーパーは、ボールが飛んできた瞬間の風圧を感じることができた。
こいつ、こいつのキック力は強すぎるだろう!
後半開始5分、七組が得点。
7対1!
「こ...こいつ、人間なのか?」サイドラインで、李岩は林亦を見つめて目を見開いた。