第120章 弱すぎる

林亦が動き出した。

彼は小走りでボールに向かい、ボールまで半メートルの位置で左足を地面につけ、右足を上げ、足の甲を空中で45度の角度に傾け、そしてボールの側面を蹴った。

「これはロングキックのリズムだ!」

「いや!違う!」

観客席で、サッカーを知る数人の男子が突然立ち上がり、林亦の足元から飛び出したボールを恐怖の表情で見つめていた。まるで信じられないことを目の当たりにしたかのように。

ボールは舞い上がり、三班のペナルティエリアに向かって落ちていった。

「ボールを受け取ったら俺に渡せ。お前ら六人で林亦を止めろ!」易思城は七班陣地に向かって走りながら、自分のチームメイトに指示を出した。しかしその時、彼は群衆に囲まれた林亦を横目で見て、突然気づいた。林亦には突破する意図が全くなく、むしろ振り返りもせずに七班陣地へと走っていた。

見たところ、次の守備の準備をしているようだった。

しかし易思城は何故か、心が落ち着かなかった。そしてほぼ同時に、易思城はグラウンド中に響き渡る歓声を聞いた。

その声は観客席から来ていた。観戦していた生徒たちが、まるで信じられないものを見たかのように、一斉に声を上げたのだ!

一体何が!

易思城は振り返り、自陣のペナルティエリアを見た。そして、彼の瞳孔が急激に縮んだ。

林亦がサイドから蹴ったボールは、空高く上がった後、本来落ちるはずの軌道を外れ、空中で急速に回転しながら、信じられないような弧を描き、高空からゴールのコーナーに向かって飛んでいった!

ゴールキーパーはボールが空中で回転して軌道を変えることを予想していなかったため、反応が遅れ、ボールは勢いを保ったまま回転しながらゴールに吸い込まれた!

ゴールネットに入ったボールは、しばらくの間自らの回転を続け、ようやくゆっくりと地面に落ちた。

易思城は魂の抜けたように立ち尽くし、数回バウンドして止まったボールを見つめ、顔は真っ青だった。

「ゼロ角度シュート!本当にゼロ角度シュートだ!」ピーターはこの光景を見て、全身が震えていた。まるで長年待ち望んでいた瞬間を目にしたかのように、あるいは日々祈りを捧げる信者が、ついに自らの信仰に出会えたかのように。