133.藤堂社長が更生した

九条結衣、もし四年前のように何も言わずに消えてしまったら、小林家と九条家を潰すことになっても、必ずお前を探し出す。

藤堂澄人の表情は、恐ろしいほど冷たかった。四年前の彼女の突然の失踪で、世界中を探し回った記憶が、今この瞬間、彼の脳と心臓を激しく揺さぶっていた。

彼は恐れていた。本当に四年前の出来事が再び起こることを恐れていた。そして今度は、一生九条結衣を見つけることができないかもしれないと。

この恐怖は、今までこれほど鮮明に感じたことがなかった。

病院の建物の前に長時間立ち尽くした後、藤堂澄人はようやく心の動揺を落ち着かせ、駐車場へ向かった。

車のドアを開けて乗り込むと、松本裕司はまだパソコンのキーボードを打ち続けていた。彼が来たのを見て、軽く挨拶をしただけで、また打ち込みを続けた。

「分かりました、社長」

閉じていた藤堂澄人の両目が突然開き、松本裕司の方を見た。

「奥様はC市に行かれました」

「C市だと?」

藤堂澄人は、かすかに眉をひそめた。「C市で何をする?」

九条結衣の居場所を知り、藤堂澄人は密かにほっとした。

「奥様は誠和産業を引き継がれました」

誠和建材産業について、藤堂澄人は知っていた。それが九条結衣の外祖父である小林茂の会社であることも知っていたが、会社の経営陣は外部からCEOを招いており、小林茂はほとんど経営に関与していなかった。

この会社は小規模ながら、名の通った企業だった。近年開発した建築材料が、健康・環境面や建築施工の面で高い基準を満たし、多くの特許を取得しており、不動産業者や施主から高い評価を得ている、非常に将来性のある実業会社だった。

現在の規模が小さいのは、このような技術を支える資金が不足しているためで、彼らは財力の大部分を技術開発に投じており、そのため生産規模が十分ではなかった。

しかし、この会社の研究技術を考えれば、成長は時間の問題だった。

以前、彼はこの会社に注目し、出資を持ちかけたこともあった。誠和産業が今必要としているのは運営資金で、藤堂グループの出資は誠和産業にとって大きな推進力となるはずだったが、誠和側は即座に断ってきた。

断られた以上、藤堂澄人も無理強いはしなかった。有望とは思っていたが、それがなければならないというわけではなかった。