187.下馬威

九条政は九条爺さんの前に来て、周りの異様な雰囲気に全く気付かず、木村富子と木村靖子を爺さんに紹介した。「お父さん、こちらが富子で、こちらが私の娘の靖子です。今日がお誕生日だと聞いて、お祝いに来てくれました」

木村富子は九条家に嫁ぎたがり、木村靖子は九条家の正統な令嬢になりたがっていた。爺さんの承認を得てこそ、九条家、さらには上流社会での地位を確固たるものにできるのだ。

そのため、二人は爺さんの前で精一杯取り入ろうと準備していて、爺さんに会った時には、すでに従順な態度を見せていた。

このような態度は、一般家庭では愛想がよく見えるかもしれないが、世慣れた人々の目には、作為的で下品に映るだけだった。

「所詮は育ちが知れる。全身に宝石を纏っても、骨の髄までの卑しさは隠せないものだ」