「お爺さん、お誕生日おめでとうございます。東の海のように福に恵まれ、長寿でありますように」
九条結衣は爺さんにお茶セットを贈り、爺さんは当然とても喜んでいた。特に可愛い曾孫も来ているのを見て、顔の笑みがさらに大きくなった。
「初、曾お爺さんに南山のように長寿でありますようにとお祝いの言葉を」
幼い声で、甘えるような声で祝いの言葉を言うのを聞いて、九条爺さんはさらに嬉しくなり、小さな初を抱き上げた。
同時に、二人のやり取りは、周りの人々の初の身分についての推測をさらに深めた。
この子は九条姓を名乗っているので、当然九条家の方々だが、彼らの知る限り、九条爺さんには孫が一人、九条凌しかいない。九条凌はまだ二十歳で、この子は彼の子供とは思えない。
皆がこの子の身分について気になっているところ、ずっと黙っていた藤堂澄人が突然口を開いた。「初」
藤堂澄人はここでは輝く存在で、どこにいても人々の注目を集めることができる。彼が口を開くと、多くの人が彼の方を見た。
初は藤堂澄人を見ても、相変わらずそれほど親しげではなかったが、それでも甘い声で一言、「パパ」と呼んだ。
初のこの「パパ」という一言で、周りの人々は驚きのあまり息を呑んだ。
この子が藤堂澄人をパパと呼ぶ?
彼は藤堂澄人の息子なの?
彼らは初の顔をもう一度じっくりと見た。この子と藤堂澄人の関係を疑う人は誰もいなかった。この子は藤堂澄人にそっくりで、まるで同じ型から作られたかのようだった。
「この子は藤堂澄人の子供?藤堂澄人はいつ結婚したの?」
誰かが我慢できずに噂し始めた。というのも、藤堂澄人のようなプラチナ独身貴族は、多くの人が彼と縁組みを望み、藤堂家との縁を結びたがっていた。藤堂家と結びつくことは、ビジネス界の半分を手に入れるようなものだった。
なのに今、突然子供が現れたというのか?
「結婚したという話は聞いていないけど、この子もしかして私生児じゃない?」
誰かが小声で言い、この推測が出た途端、皆が頷いて同意した。
しかし、この子が私生児であろうと嫡出子であろうと、藤堂澄人の長男であることは間違いない。将来この子は藤堂澄人の財産の相当部分を相続することになるだろう。