158.利息を取り戻す

藤堂澄人の瞳の色が暗くなり、彼女の足首を掴んでいた手を急に離し、彼女の手を守りながら、体を回転させ、二人は同時に床に倒れた。

藤堂澄人の口から痛みを伴った呻き声が漏れた。より正確に言えば、藤堂澄人が床に倒れ、九条結衣は藤堂澄人に守られ、そのまま彼の体の上に倒れ込んだのだ。

肘が藤堂澄人の胸に当たり、彼は痛みで顔をしかめた。

九条結衣も突然の出来事に驚き、数秒間呆然としていた。気づいたときには、自分が藤堂澄人の上に覆いかぶさっており、二人の姿勢は極めて艶めかしいものに見えた。

九条結衣は頬を赤らめ、急いで地面を押して起き上がろうとしたが、半分起き上がったところで、再び藤堂澄人に引き寄せられ、彼の逞しい胸板に押し戻された。

藤堂澄人の表情は、しばらくして落ち着きを取り戻した。深い目を細め、不満げに九条結衣を見つめながら、掠れた声で言った。「恩を仇で返すつもりか？俺がお前を助けたばかりなのに、逃げようとするのか？」

九条結衣は青ざめた顔で、冷たい目で彼を見つめ、歯を食いしばって言った。「藤堂社長は『大恩は言葉では言い表せない』という言葉をご存じないのですか？」

「知っているさ。その言葉の意味は、大きな恩は単なる『ありがとう』では済まないということじゃないのか？」

九条結衣：「……」

こんな図々しい解釈があるものだろうか？

「では、藤堂社長は私にどのようなお返しを望まれるのですか？」

彼が彼女の足を掴んで立てなくしなければ、転ぶこともなかったのに、と言いたかった。

しかし、藤堂澄人のような厚かましい男は、きっと他の屁理屈を言い出すに違いない。彼女はこんなことで言い争いたくなかった。

「命の恩人には身を捧げるのが当然だが、お前は元々俺の妻だから、それは当たり前すぎる。せめて利子くらいもらわないとな」

言葉が終わるか終わらないかのうちに、九条結衣が反応する間もなく、彼女の体は再び藤堂澄人に押し下げられ、抵抗する余地も与えられず、藤堂澄人の唇が彼女の唇に重ねられた。

九条結衣は呆然とし、元々冷たかった瞳に無数の驚きが走り、その驚きは次第に怒りへと変わっていった。

「藤堂さ……んっ……」

やっと掴んだ隙も、再び藤堂澄人に塞がれてしまった。

藤堂澄人のキスの技術は巧みで、少し挑発しただけで、九条結衣は最初の抵抗から次第に従順になっていった。