224.いつもバカに出会う

彼女が今すぐC市に戻ると聞いて、藤堂澄人は少し不本意だったが、それでも携帯を彼女に渡した。

九条結衣は夏川雫に電話をかけ、すぐに夏川雫が出た。

「雫」

「結衣、どこにいるの?」

九条結衣は夏川雫に病院にいることを伝え、そのまま病院で彼女を待つことにした。

「ありがとう」

携帯を藤堂澄人に返した後、彼女は再び冷たく礼を言い、それ以上藤堂澄人との会話を避けた。

九条初はここ数日、母親の家で預かってもらっているが、彼女を探して泣いているかもしれない。

九条初のことを考えると、九条結衣は失った親権裁判のことを思い出し、気持ちが一気に沈んでいった。

藤堂澄人は彼女の表情が急に暗くなるのを見て、胸が痛んだ。きっと息子の九条初のことを考えているのだろう。

昨夜、彼女が意識を失っている時に感情的に彼を憎むと叫んでいた姿を思い出し、藤堂澄人は胸の痛みがさらに強くなった。