初の目が、一瞬にして輝き出した。
藤堂澄人は自分を指差しながら、息子に言った。「ママと一緒になればいいんじゃない?」
初は眉をしかめ、表情に迷いが浮かんだ。
藤堂澄人は迷う時間を与えず、さらに誘いかけた。「パパはすごいんだぞ。ママを守れるし、初も守れる。パパはたくさんお金もあるから、他の男の人よりもずっとお金持ちなんだ。ママが働かなくても、パパは百歳までみんなを養っていけるんだよ。一番大事なのは、初はパパの実の子だから、パパは初が一番好きで、絶対にママと離れ離れにはさせないってことだ」
その言葉を聞いて、初は目を動かし、明らかに心が動いた様子だった。
しかし、すぐに困ったように眉をしかめ、「でも、ママはパパのことが好きじゃないよ」と言った。
「違うぞ」
藤堂澄人は手を上げ、初の額を軽く弾いた。不満そうな目を向ける息子に、「女性というのは口では違うことを言うものなんだ。ママはパパのことが大好きなんだよ」と言った。