藤堂澄人が呼びかけると、初は彼の方を見て、黒い瞳を無邪気にパチパチと瞬かせた。
まったく恐れを知らない表情!
先ほど階下で自分のパパがママと無理やり引き離したことで不機嫌になっていたので、この瞬間の初の目には、このブタ野郎はただのブタ野郎で、決して自分のパパではなかった。
そう思いながら、初は小さな背筋を伸ばし、首を突き出して言った。「パパ、ママはパパのことが嫌いだって。だから、ママの好きな人を見つけて、ママの面倒を見てもらわないと」
藤堂澄人は奥歯を噛みしめ、この小僧の骨を折ってやりたいと思った。
彼は初の前に歩み寄り、直接初の襟首を掴んで、子猫を持ち上げるように初を持ち上げた。「息子よ、ちょっと話し合おうか」
初は父親に持ち上げられ、手足をバタバタさせ、哀れで弱々しく、なすすべもない……
「藤堂澄人、初を下ろして」
九条結衣が前に出て止めようとしたが、藤堂澄人は動じることなく、初を抱えたまま階段を上がり、部屋に入った。
「藤堂澄人……」
バン——
目の前のドアが閉まり、九条結衣は外に閉め出された。
「藤堂澄人!」
九条結衣はドアを叩きながら何度も呼びかけたが、藤堂澄人は出てこなかった。九条結衣は再び肝臓が痛くなるほど腹が立った。
よくもまあ、他人の家なのに我が物顔で。
部屋の中で、藤堂澄人は初をベッドに放り、自分も初の前で足を組んで座った。父子は向かい合って座っている。
ほとんど同じ顔をした二人が、このように見つめ合うのは少し不気味だった。
「お前は男だろう?」
藤堂澄人が尋ねると、初は迷うことなく頷いた。
「ママを守りたいか?」
初は再び迷うことなく頷き、表情は先ほどよりも真剣になった。
「いい子だ」
藤堂澄人は満足げに初の頭を撫で、褒めた。
「でも、ママが他の男と付き合ったら、お前はママと離れ離れになることを知ってるか?」
これを聞いて、初の表情が凍りつき、少し躊躇いを見せた。「どうして?」
「お前は俺の息子だからだ。他の男はお前のことを好きにはならない」
初は半分理解したような表情で、考えてから言った。「パパが嫌われ者だから、パパの息子も嫌われるってこと?」
そう言って、初は少し嫌そうに眉をしかめた。「パパってダメだね。自分が嫌われ者なのに、私まで巻き込んで」
藤堂澄人:「……」
この小僧め!