また、この女だ

「あの時のことは、あの馬鹿息子が全部お婆様に話してくれました。今こうなってしまったのは彼の自業自得です。お婆様も彼を弁護するつもりはありませんが、結衣、お婆様を信じてください。澄人は本当にあなたのことが好きなのです。あまりにもあなたのことを気にかけすぎていたからこそ、あのような事態に直面した時に、正常な判断力を失ってしまったのです」

「あの時の誤解の後、もし本当にあなたのことを諦めていたのなら、後にあなたが政略結婚を持ちかけた時に、承諾することはなかったはずです。そうでしょう?」

「結衣、彼があの時の誤解にこだわっているというより、自分自身でその壁を乗り越えられないのです。彼の性格は私がよく分かっています。あなたを苦しめることは、同時に自分自身も苦しめることなのです」