また、この女だ

「あの時のことは、あの馬鹿息子が全部お婆様に話してくれました。今こうなってしまったのは彼の自業自得です。お婆様も彼を弁護するつもりはありませんが、結衣、お婆様を信じてください。澄人は本当にあなたのことが好きなのです。あまりにもあなたのことを気にかけすぎていたからこそ、あのような事態に直面した時に、正常な判断力を失ってしまったのです」

「あの時の誤解の後、もし本当にあなたのことを諦めていたのなら、後にあなたが政略結婚を持ちかけた時に、承諾することはなかったはずです。そうでしょう?」

「結衣、彼があの時の誤解にこだわっているというより、自分自身でその壁を乗り越えられないのです。彼の性格は私がよく分かっています。あなたを苦しめることは、同時に自分自身も苦しめることなのです」

九条結衣はずっと静かに聞いていて、藤堂お婆様の言葉に返事をしなかった。

今日、九条爺さんと藤堂お婆様が一緒に来てこれほど多くを語ってくれたことについて、彼女は二人の意図をよく理解していた。

要するに、彼女に藤堂澄人と復縁してほしいということだった。

復縁なんて、そう簡単にできることではない。

過去数年間の溝を、まるでなかったことにできるだろうか?

九条結衣は、たとえ藤堂澄人のことを忘れられないとしても、わだかまりなく彼と一緒になることはできないと感じていた。

もしいつか、二人がまた何かで喧嘩したり、もめ事が起きたりしたら、きっと彼女はあの時のことを思い出してしまうだろう。藤堂澄人が彼女にどんな仕打ちをしたのかを。

その怨みや憤りが心の中できれいに消えていない限り、たとえ藤堂澄人と復縁したとしても、二人は反対の方向に進み、どんどん遠ざかっていくだけだろう。

「お婆様、少し考えさせてください」

藤堂お婆様は九条結衣にこれほど多くを語ったものの、彼女がすぐに孫を許して復縁するとは期待していなかった。

過去の傷は、ないことにしたからといって本当になくなるわけではない。

彼女の考えは九条爺さんと同じで、ただ九条結衣に藤堂澄人にもう一度チャンスを与えてほしい、彼の全ての道を閉ざさないでほしいということだった。

もし最後に二人が本当に一緒になれないのなら、それも仕方ない。全ては運命なのだから。