378.君を喜ばせたい

九条結衣は自分の耳を疑い、急いで顔を上げて藤堂澄人を見つめた。澄んだ瞳の奥には、興奮で特別な輝きが宿っていた。

しかし、藤堂澄人が彼女の意図を誤解することを恐れ、もう一度強調して繰り返した。「九条初の親権を私に返してほしいと言ったの」

藤堂澄人は微笑みながら彼女を見つめ、手を伸ばして優しく彼女の頭を撫でながら、同じように繰り返した。「分かったよ。約束する。九条初を君に返すよ」

彼は九条結衣の目に宿る喜びの光が次第に強くなり、瞳からあふれ出るのを見つめながら、薄い唇も上向きに弧を描いた。

次の瞬間、九条結衣の目の中の喜びは少し薄れ、半信半疑の眼差しに変わった。「私をだましているんじゃないでしょうね?」

藤堂澄人は目に笑みを湛えながら、彼女に一歩近づき、深い瞳で静かに彼女を見つめ、頷いた。「ああ、だましているよ」