422.卑劣で汚らしい責任感のない男

爺さんの言葉は、明らかに遠藤隼人に向けられており、危険に満ちた声色には、背筋が凍るような警告が含まれていた。

九条愛は今回の帰省で、終始無神経な様子を見せており、九条結衣に遠藤隼人の不倫の話をした時でさえ、何事もないかのように振る舞っていた。

しかし、父親がこのように力強く自分を守る言葉を発し、自分のために立ち上がってくれるのを聞いて、瞬く間に目が潤んでしまった。

心の中の悔しさと苦さが一気に込み上げ、爺さんの側に寄って、声を詰まらせながら「お父さん...」と呟いた。

「お母さん」

九条愛が口を開こうとするのを見て、遠藤晶はすぐに彼女の言葉を遮った。彼女は九条愛の側に寄り、腕を取り、目に懇願の色を浮かべた。

「お父さんとはもう30年近く連れ添ってきたのよ。些細なことじゃない。どうして曾祖父を心配させるようなことを...それに、お父さんがわざわざここまで来て謝ってるのに、お母さん...」