彼は遠藤隼人という婿をあまり気に入っていなかったが、娘が好きだというので、そのままにしていた。
この数十年、夫婦二人の生活は悪くなかったので、特に何も言わなかった。
しかし、彼は老いぼれてはいない。この娘は何もなければ遠くから帰国して滞在したりはしない。もし遠藤隼人が単に娘の機嫌を損ねただけなら、わざわざ遠くから帰ってくることはないはずだ。きっと遠藤隼人が何か許されないことをしたに違いない。
「お父さん……」
九条愛が何か言おうとしたが、老爺の威厳のある眼差しで遮られた。
「皆、入りなさい」
九条爺さんは遠藤父娘を見て言った。
遠藤晶は居間にいる数人を見た後、愛想よく老爺の前に歩み寄り、老爺の腕を掴んで甘えるように揺らしながら言った:
「おじいちゃん、ママとパパが喧嘩したの。ママを説得してあげて、パパのことを怒らないでって。こんな年になってまで、こんなに意地を張るのはよくないわ」