続いて、彼は子猫の頭を撫でながら言った。「ママを喜ばせてあげたら、次は美味しい干し魚をご褒美にあげるよ」
九条二郎は藤堂澄人の言葉を理解したかのように、とても愛想よく「ニャー」と鳴いた。
九条結衣が裏庭から家に戻ってきた時、ちょうど老爺様と九条愛も二階から降りてきたところで、二人とも彼女を見る目つきには、何か深い意味が込められているようだった。
祖父と叔母にそのような意味深な目で見られ、九条結衣は特に居心地が悪くなり、話題を変えようと思った矢先、九条愛が驚きの声を上げた。「わぁ!この子猫、可愛い!」
藤堂澄人は九条結衣の後ろについて入ってきており、九条二郎はまだ藤堂澄人の手の中にいた。九条愛は前に出て、一気に九条二郎を奪い取った。
藤堂澄人は少し不満げだった。これは妻のために慎重に選んだものなのに、どうして簡単に他人に渡せるだろうか?