視線を戻すと、彼は九条結衣の隣の椅子に座ったが、思いがけず遠藤隼人と遠藤晶の親子も向かいの椅子に座った。
VIPルームのソファは4脚の椅子が向かい合わせに置かれ、その間にはティーテーブルが配置されていた。
今や遠藤親子が向かいに座ったことで、まるで4人が同じグループであるかのようだった。
九条結衣は今やこの親子を見るだけで吐き気を催すほどで、彼らが目の前に座ったのを見て、眉をしかめるのを隠そうともしなかった。
遠藤親子は当然、九条結衣の顔に浮かぶ嫌悪感に気付いていたが、気付かないふりをした。
昨夜九条家を出てから、遠藤隼人は実は後悔していた。カナダの事業は全て九条愛一人のものだった。
彼はビジネスのことを理解していなかったし、同時に、九条愛の金目当てで彼女と一緒にいるわけではないことを証明したかった。