444.本当に藤堂さんと関係を持ったのね

父と子は笑顔で話し合い、とても楽しそうな様子だった。

九条初を見ると、以前見たような悲しみや不満の表情はなく、藤堂澄人が何を話したのかは分からないものの、息子が普段の様子に戻ったのを見て、ようやく安心した。

藤堂澄人の視線がちょうどその時、彼女に向けられた。深い瞳の奥に、優しさと愛情が宿っているのを見て、九条結衣の心臓が一拍飛び跳ねた。慌てて視線を外し、脇に立った。

藤堂澄人が九条初を抱いて階段を降り、彼女の側まで来ると、彼女は躊躇いながら口を開いた。「母が九条初の面倒を見てくれて何日も経つので、私たち、先に家に帰りましょう。」

九条結衣のその言葉の中の「私たち」という言葉は、彼女の潜在意識の中で、彼と母子二人を自然と一つの輪の中に入れていた。そのような認識に、藤堂澄人の唇の端が嬉しそうに上がり始めた。