藤堂澄人の眼差しは、この話をする時に輝きを放ち、まるで母子のために料理を作ることが、この傲慢な社長にとって特別な栄誉であるかのようだった。
九条結衣は眉をひそめ、彼の作る闇料理なんて食べられないと言おうとしたが、言葉を発する前に藤堂澄人に引っ張られていった。
「行こう」
そのとき、九条結衣の携帯が鳴り、九条初の幼稚園の先生からの電話だった。
「田中先生」
九条結衣は電話に出たが、九条初の喧嘩の件で、この幼稚園の先生に対する印象はあまり良くなかった。
「親子運動会?」
電話で田中先生の言葉を聞いて、九条結衣は一瞬戸惑った。
「そうなんです。九条初のママ、私たちの幼稚園では毎年親子運動会を開催しているんですが、九条初くんは新入園児なので、この活動に参加してもらいたいと思っています。クラスの子供たちともっと仲良くなれると思うのですが、以前九条初くんに何度か聞いても参加したがらなくて、そこでお母様とご相談させていただきたいと思いまして…」