デパートに入るなり、三人家族の際立つ容姿が瞬時に皆の視線を集めた。
男性は背が高くハンサム、女性は細身で美しく、さらに陶器の人形のように精巧で可愛い少年がいて、思わず目を向けずにはいられなかった。
三人がエスカレーターで地下一階のスーパーに向かうと、こっそりと後をつけて写真を撮る人もいた。
「これって芸能人の家族じゃない?あの男性、どこかで見たことある気がする」
「そうね、男性も子供も見覚えがあるわ。どこかで見たことがある気がする」
「私もそう思う……」
そう言いながら、誰かが先ほど撮った写真を開いて言った:「写真を撮ったから、百度で調べてみよう」
しばらくして、数人が百度に表示された情報を見つめ、深いため息をついた。
「藤、藤堂澄人だ。なるほど見覚えがあると思った。彼が手を繋いでいる子供は、前に遊園地で抱いていて話題になった少年じゃない?」
「隣にいる女性は、子供のお母さんなのかな?とても綺麗で、藤堂澄人と並ぶとお似合いね」
「どうしよう、嫉妬で妊娠したくなっちゃう、うぅ~」
「……」
デパートの最上階はレストラン街だったが、どの店も長蛇の列で、かなり待たなければならないようだった。
昼食を食べていなかったので、九条結衣はお腹が空いていた。藤堂澄人に向かって言った:
「もう待つのはやめにして、スイーツ店でパンを買って済ませましょう」
「パンを正餐にするわけにはいかないだろう?」
藤堂澄人は不賛成そうに眉をひそめ、九条初を九条結衣に預けると、自分でレストランの中に入っていった。
九条結衣は藤堂澄人が店主に何を言ったのかわからなかったが、すぐに彼が戻ってきて、九条初を抱き上げ、彼女の手を引いて中に入った。
「席が空いたの?」
彼女は最前列で待っている人たちを見た。藤堂澄人には割り込む方法があることは知っていたが、外の人たちに知られたら、文句を言われないだろうか?
九条結衣はその人たちを見て、少し後ろめたい表情をした。
案の定、三人が入るや否や、入口で並んでいた人たちが文句を言い始めた。
最後には、レストランの店主が何か言ったのか、並んでいた人たちは静かになった。
「どうやって納得させたの?」
注文する時、九条結衣は好奇心を抑えきれずに尋ねた。