467.娘の美貌は原罪

一番分かりやすく言えば、女性の美しさは時として原罪となることがあり、九条結衣の美しさは、許されざる大罪となってしまったのだ。

今、彼女が藤堂澄人の車から降りてくるのを見て、藤堂澄人を知らない人はまだ良かったが、藤堂澄人を知っている人は、さらに複雑な思いを抱いた。

愛人だとしても、藤堂澄人の愛人なのだ。

それだけでも、人々の妬みを買うには十分だった。

皆がこの光景を呆然と見つめる中、九条初のクラスの先生が最初に我に返った。九条初の父親が藤堂澄人だと知った時、突然心が慌てた。

九条結衣は九条初の担任の先生を知っていたので、真っ直ぐに彼女の方へ歩いていった。

「田中先生」

田中先生は先ほどの衝撃から立ち直り、九条結衣に頷いた後、九条初を抱いている藤堂澄人を見て、落ち着きを装って言った:

「藤堂さんが幼稚園に来られるのを見たことがありませんでした。まさか九条初くんのお父様だったとは」

田中先生のこの言葉を聞いて、藤堂澄人の元々冷たかった表情が、さらに沈んだ。

「義母から聞いたところによると、昨日息子が幼稚園で友達と喧嘩したそうですね。うちの息子は簡単には人を殴ったりしない子です。だから、一体何があったのか直接確認に来ました」

藤堂澄人の口調は強くなかったが、無表情で、冷たい目を細めた様子は、人々に本能的な恐れを感じさせた。

そして藤堂澄人の言葉の中の「義母」という言葉は、彼の隣にいる女性が愛人ではなく、正当な藤堂奥様であることを皆に知らしめるのに十分だった。

ちょうどその時、二人の保護者が顔に青あざのある子供を連れて近づいてきた。藤堂澄人の言葉を聞いて、心臓が震えた。

田中先生も藤堂澄人の質問に心臓がドキドキした。彼女は九条初の祖母に何が起こったのか分からないと言ったが、実際には原因をよく知っていた。

ただ石川くんの両親の機嫌を取るために、喧嘩の真相を意図的に隠していた。そのため外から見ると、喧嘩の責任は主に九条初にあるように見えた。

「これは...藤堂さん、何か誤解があるのだと思います」

田中先生は不安な気持ちで、藤堂夫妻の後ろに同じく不安そうな表情を浮かべている石川くんの両親を見て、かなり腹が立った。

この二人がいなければ、今頃藤堂澄人に問い詰められることもなかったのに。