長い間その場に立ち尽くしてから、彼女はようやく書斎のドアから視線を外し、ベッドに横たわった。
先ほどの藤堂澄人の寂しげな表情を思い出したくなかったが、目を閉じると、彼女を見つめる時の失望と悲しみに満ちた表情、そして僅かに赤くなった目元が頭から離れず、心が激しく乱れた。
書斎からは、時折藤堂澄人の声が聞こえてきた。彼らを邪魔しないようにと、声を抑えているようだった。
しかし、夜中で主寝室と繋がっているため、九条結衣はこうして横たわっていても、彼の声が聞こえてきた。
会議はやはりサンフランシスコの政府プロジェクトに関するもので、様子を見るに、問題は小さくなく、相手は意図的に藤堂澄人に対抗しようとしているようだった。
それを考えると、九条結衣は少し心配になった。
二日間で本当に解決できるのだろうか?
九条結衣はベッドに横たわったまま、全く眠気がなく、先ほど藤堂澄人が彼女に自分のことを想うかと尋ねた時のことを思い出し、きっと想うだろうと思った。
彼女は気づいた。わずか数日の間に、この人の存在に少し慣れてしまっていたことに。
たとえ彼が自分の前で図々しく振る舞っても、突然自分の傍らからいなくなってしまうよりはずっとましだと感じていた。
およそ二時間ほど経って、ようやく書斎からの声が止んだ。
続いて、藤堂澄人が書斎から出てくる足音が聞こえた。
九条結衣は自分が何に緊張しているのかわからなかったが、すぐに背を向けて横たわり、目を閉じて眠りを装った。
書斎のドアが静かに開き、藤堂澄人が中から出てきた。
ドア前で一瞬立ち止まったようで、その後ベッドの方へ歩いてきた。
近づいてくる足音を聞きながら、九条結衣の心はさらに緊張し、目をより強く閉じた。
藤堂澄人がベッドの傍らに来ると、その大きな体が窓から差し込む月明かりを遮った。
九条結衣は彼が何をしようとしているのかわからなかったが、しばらくすると、彼の口から溜息が漏れ、身を屈めて布団を優しく掛け直してくれた。
九条結衣は彼がそのまま去ると思っていたが、しばらく待っても、その人の気配は更に近づいてきた。
次の瞬間、彼が自分の背後に横たわり、後ろから彼女の全身を抱きしめ、しっかりと包み込むのを感じた。
九条結衣の体が明らかに硬くなり、藤堂澄人もそれを感じ取った。