ソファーに敷かれた布団を静かに見つめ、客室にはこの一組しかないことを思い出した結衣は、布団を抱き上げ、藤堂澄人に持っていこうと決めた。
そのとき、主寝室のドアが再び開かれた。
物音を聞いて、結衣は思わず振り向き、藤堂澄人が主寝室に戻ってきたのを見た。彼は手にコップの水を持ち、ゆっくりと彼女の方へ歩いてきた。
結衣は呆然と彼を見つめ、彼が目の前まで来て、コップを差し出すのを見た。
もう一方の手には避妊薬を持ち、同じように彼女の前に差し出した。
結衣は一瞬戸惑い、少し困惑した様子で彼を見上げると、彼の苦い表情と目が合い、胸が急に締め付けられた。
藤堂澄人は悲しげに笑って、「飲んでおいで」と言った。
結衣はその場に立ったまま動かず、ただ静かに藤堂澄人の手のひらにある薬を見つめ、複雑な思いに駆られた。