538.誰かが彼女を狙っている

そうは言っても、九条結衣は分かっていた。たとえ彼らが真実を話したとしても、ネットユーザーが必ずしも信じるとは限らないということを。

「これらの指示は既に出しましたが、九条社長、この件は余りにも不自然です。当社が上場してから一週間も経たないうちに、こんな厄介な事態が起きて、この投稿が出るや否や爆発的に広がり、明日の株式市場が開くと、我々の株価は必ず大きく変動するでしょう。」

この点については、九条結衣も考えていた。

「まずは広報部に対応させて、技術部が投稿のIPアドレスを特定したら、私に知らせてください。」

事態は、単なる投稿一つで済むような簡単なものではないはずだ。

案の定、九条結衣の予想通り、翌日、九条初を学校に送った後、会社への道中で投稿を開いてみると、既に影響力のある有名人やセレブリティの多くが転載していた。