546.金を渡さないなら告発する

病室を出たばかりのところで、外で待っていた作業員たちに止められた。

「山下くん、早く言ってくれよ。あの女社長はいくら払うって約束したんだ?前に約束したじゃないか、金を手に入れたら俺たちにも分けるって。」

「そうだぞ、山下。この金を独り占めするなよ。」

「……」

山下優は九条結衣を追いかけようと急いでいたところを、こうして囲まれて焦り、怒って叫んだ:

「金なんてないよ!どこにも金なんてない、さっさとどけ!」

彼がこう怒鳴ったので、作業員たちは怒り出した。

「山下、それは酷すぎるぞ。最初の約束では、俺たちがここで騒ぎを起こして、お前があの女のところへ行って多めに金を要求して、それを俺たちに分けるって話だったじゃないか。」

「その通りだ。お前が俺たちにここで待てって言わなかったら、仕事を放り出してここでお前と時間を無駄にしたりしないぞ。損した分は絶対に払ってもらうからな。」

「……」

山下優は作業員たちに完全に囲まれて、九条結衣を追いかけることもできず、恐怖と怒りで胸が一杯だった。

「だから金はないって言ってるだろ!あの女は金を出すって言わなかったんだ!」

「嘘つくな。金を出さないのに、そんなに簡単に行かせるわけないだろう。いいか山下、今日金を分けないと、お前が俺たちに騒ぎを起こすよう唆した件を暴露するぞ。そうなったら誰も得しないぞ!」

「……」

山下優はこの言葉を聞いて、顔色が更に青ざめた。

ネット上の投稿は彼が書いたものではなかったが、ネット上での噂を黙認していたし、宮崎裕司に殴られた写真も、彼が了承の上で撮られたものだった。

ネットいじめの結末がどうなるか、彼は十分に知っていた。もし彼らが金を脅し取ろうとしていた事実をネットに暴露して、大衆に同情心を利用していたことがバレたら、これからどうやって学校で顔を上げて歩けるだろうか。

そう考えると、山下優の怒りに満ちた表情は、少し和らいだ。

「みなさん、聞いてください。あの女は本当に金を出すとは言わなかったんです。信じられないなら、毎日僕について来てください。銀行カードは全部ここにありますから、好きなように調べてください。それでいいでしょう?」

彼がそう言うのを聞いて、作業員たちの激しい態度も少し和らいだ。

しかし、まだ半信半疑の様子で、「本当に嘘じゃないんだな?」