「だから、私のせいで私の妻に手を出したというわけか?」
藤堂澄人は眉を上げた。
「は...はい、藤堂さん、私は本当にあなたのことが好きなんです。名分なんて求めません。ただそばにいて、お世話させていただければそれでいいんです。愛人でも構いません」
愛人にまでなる覚悟を示した小林由香里は、これだけ自分を低く置いているのだから、藤堂澄人が心を動かされ、見逃してくれるだろうと思っていた。
しかし、彼女は藤堂澄人の冷酷さを甘く見すぎていた。
「愛人?お前のどこに魅力があると思っているんだ?醜くて貧乏で愚かなところか?」
松本裕司:「……」
うちのボスは、まさに金剛石だ!
とはいえ、松本裕司は自分のボスの言葉に同意していた。奥様の方が彼女より美しく、賢く、裕福だ。ボスが目が見えなくなったとしても、奥様を捨てて、このような不純な動機を持つ愚かな女を選ぶはずがない。