557.林の女、藤堂社長に告白した

松本裕司は眼鏡を押し上げた。紳士として女性の顔を叩くべきではないが、この女は厚かましすぎる。彼女が恥知らずなのだから、顔を叩いても構わないだろう？

「小林さん、あなたは奥様が坊ちゃんの世話をするために雇った家政婦に過ぎません。社長はあなたの名前すら知らないのに、どうして勝手に社長に関わろうとするのですか。もし奥様が誤解して社長のことを怒ったら、その責任はあなたに問われることになりますよ。」

松本裕司は笑みを浮かべながら話したが、その一言一言が小林由香里の顔に何発もの平手打ちを食らわせるようなものだった。

傍にいたオタクの男は呆然としていた。

小林さんは彼らの学校で頭が良くて美人な才女として、多くのオタク男子の憧れの的だった。

だから、校庭で小林さんがある女性に恋人関係を壊されたと泣きながら訴えた時、彼は即座に仕返しを手伝うと申し出た。

彼は彼女のために投稿を作成し、ネットユーザーにその女性を非難させ、会社の株価まで停止に追い込んだ。しかし...結果的に小林さんが他人の夫婦関係に割り込もうとしていたということが判明した。

いや、割り込むどころか、厚かましい片思いに過ぎず、相手は彼女に目もくれなかったのだ。

彼の小林由香里への視線は一瞬にして変わった。女神を見る目から、糞を見るような目に変わり、吐き気すら感じるほどだった。

「小林さん、あなたは度を越えています。」

「違います...私は知りません、あなたは誰ですか、私を誹謗中傷するなんて...」

小林由香里は完全にパニックに陥り、何を言えばいいのか分からず、ただ誹謗中傷されていると主張するしかなかった。

松本裕司が調べた証拠を彼女の前に投げ出すと、彼女はその場に崩れ落ちた。

「小林さん、あなたは知らないかもしれませんが、私は以前人に騙されたことがあって、それ以来、誰かと電話をする時は習慣的に録音するようになりました。私のことを知らないと言っても構いません。自分の声は分かるでしょう。」

オタクの男は自分がぶりっ子に騙されたことを思い出し、激怒した。女性への思いやりなど、彼にとってもはや存在しなかった。

小林由香里は自分が終わったことを既に悟っていたが、オタクの男の言葉を聞いて、完全に地面に崩れ落ちた。