556.乔という女は藤堂社長と小林さんの間の第三者

「嘘よ、嘘だわ!」

小林由香里は悲鳴を上げ、腕の傷も気にせず、その男の口を塞ごうとして飛びかかった。すでに恐怖で正気を失っていた。

「藤堂さん、彼らを信じないでください。きっと私が九条初を助けたのを見て、私を陥れようとしているんです。藤堂さん、私を信じてください……」

藤堂澄人は彼女を無視し、ただ死人を見るような目つきで床に倒れている数人の男たちを見つめ、目配せで指示を出した。

ボディーガードはその意図を理解し、ナイフを取り出すと、小林由香里の目の前で、軽々と数人の手の筋を切った。

「あっ!!」

小林由香里は悲鳴を上げ、その数人の男たちの背筋が凍るような悲鳴が居間に響き渡った。

ただ藤堂澄人だけは、始終冷淡な態度を崩さず、このような残虐な行為をしても、まぶたさえも動かさなかった。