555.手の筋を切る

しかし動きが急すぎたため、短剣で刺された腕が引っ張られて激しく痛み、眉をひそめて思わず痛みの声を上げた。

目には憐れみを帯びた表情で、今ソファーに無造作に寄りかかり、深刻な表情をした男を見つめた。

藤堂澄人の鋭い視線が彼女に向けられるのを見て、整った眉が少し動き、低い声で尋ねた。「痛いのか?」

小林由香里は藤堂澄人の声のトーンから喜怒を読み取ることができなかったが、同情を引くこのような良い機会を逃すはずがなく、唇を噛んで頷き、小声で言った:

「少し痛いです。あの人たち、手加減なしでしたから。」

後半の言葉には少し甘えるような不満が込められており、藤堂澄人の傍らに立っていた松本裕司は思わず目尻を引きつらせた。

こんな時に、まだ彼らの「アイアンマン」社長の前で甘えるなんて度胸があるものだ。

自分が彼らの奥様だと思って、ちょっと甘えれば、このような鉄のような直球男が膝を震わせると思っているのか?ふん!

松本裕司は心の中で小林由香里を密かに批判しながらも、表面上は終始まっすぐな表情を保っていた。

藤堂澄人は唇の端を少し上げ、目の中の冷たさはさらに増した。「構わない。」

そう言いながら、彼は目配せで松本裕司に指示を出し、松本裕司はすぐに理解して、警備員たちに向かって言った:「連中を連れて来い。」

小林由香里は何が起こるのか分からなかったが、松本裕司が人を連れて来ると言った時、心の中の不安がさらに強くなった。

黒服の警備員たちが一旦外に出て、すぐに殴られて顔が腫れ上がった三人の男を部屋に投げ入れ、小林由香里は驚いて悲鳴を上げた。

「藤堂さん、彼らは...彼らは...」

小林由香里は恐怖で顔面蒼白になり、恐ろしげに藤堂澄人を見つめた。藤堂澄人の冷たい目がその数人の上を一瞥してから小林由香里に向けられ、

「お前を傷つけた者たちだ。どう処分したいか?」

藤堂澄人のこの言葉を聞いて、小林由香里は全身を震わせ、よく見ると、今は顔が腫れて元の姿は分からないものの、かろうじて彼らだと分かった。

幼稚園の門前で九条初を強制的に連れ去ろうとした者たちだった。

小林由香里の顔から血の気が一瞬で引いた。

「小林さん、早く何か言ってください、小林さん、私たちはあなたの指示に従って行動しただけですよ。」