511.誰にも君を虐めさせない

「結衣、怖がらないで、怖がらないで……」

慈しみに満ちた掠れた声で、隠しきれない優しさを込めて九条結衣を慰める声。次の瞬間、下にいる彼女はゆっくりと力を抜いていった。

温度が徐々に上がり、幾度となく極上の愛を重ねた後、室内には艶めかしい春の色が残っていた。

藤堂澄人の体力は驚くほど良く、何度も何度も重ねた愛に、九条結衣は考える力さえ失うほど疲れ果て、最後には藤堂澄人の腕の中で眠りについてしまった。

四年間禁欲していた藤堂澄人は、ようやく奥さまの肉を再び味わうことができ、満足げな表情で、疲れて熟睡している女性を腕に抱きながら、水が溢れ出そうなほど優しい眼差しを向けていた。

彼女の顔を見つめながら、心痛め、自責の念に駆られ、そして慈しみに満ちた表情を浮かべた。

彼はこの女性を何年も愛してきた。プールサイドで泣いていた彼女を初めて見た時、初めて心痛むという感覚を知った。