610.藤堂社長は追い詰めるのが得意

この女が叔母の手に掛かれば、絶対に良い目を見ないはずだったのに、まさかこの女がこれほど口が立つとは思わなかった。叔母でさえ言い負かされてしまうなんて。

叔母がこの女を懲らしめてくれるのを期待していた矢先、藤堂澄人がまた都合よく現れた。

彼女は内心期待と喜びを感じ、藤堂澄人の前でアピールしたいと思った。

前回、父が藤堂グループと商談に行った時、彼女は口実を作って一緒に行った。その機会に藤堂澄人に会えて、親しくなれるチャンスだと思っていた。

従兄弟との繋がりもあり、自分の容姿にも自信があったので、藤堂澄人の目に留まれると確信していた。

しかし、父が藤堂グループの副社長との商談を終えるまで長い時間待っても、藤堂澄人は現れなかった。最後にエレベーターを出る時に、やっと彼と出会えた。