つまり、あの子供は、藤堂澄人と九条家の孫娘との間に生まれた子に違いない。
ただし、藤堂家と九条家の縁組の話は誰も聞いたことがなく、藤堂澄人が結婚したという話も聞いたことがなかった。当時は、藤堂澄人が九条家の娘と密かに関係を持っているだけだと思われ、笑い話として済まされていた。
ちょうどその時、九条政が外のあの厚かましい愛人を九条爺さんの誕生日パーティーに連れてきて、その下賤な女は爺さんに直接叱られた。彼女たち正妻グループの奥様たちは、当然、愛人と私生児に注目が集まっていた。
当時のパーティーには軍の高官の奥様方が多く来ていて、彼女は彼女たちとの付き合いに忙しく、九条家の娘にはあまり注意を払っていなかった。
だから、最初にこの小娘を見たとき、彼女が九条家の娘だとは全く気付かなかった。