608.私の奥様は誰に囲われているのか

白石七海は手の中のカードを見て、これは自分の息子が夏川雫に渡したものだと確信していた。

先ほど、彼女は茶餐厅で息子と夏川雫が親密な様子を見せていたので、後をつけてきたのだ。

店員がブラックカードを夏川雫に返すのを一目で見た。

夏川雫のような身分の低い人間が、どうしてブラックカードを持っているのか。息子のものでなければ、誰のものだというのか。

「このカードがあなたのもの?あなたの身分で、このカードを持つ資格があるの?まさか、あなたも他の安っぽい女のように誰かの愛人になったの?」

この言葉を聞いて、その場にいた九条結衣を認識していた店員たちは、驚きの目で白石七海を見つめた。

この九条さんは藤堂家の奥様で、ネットでも話題になっているのに、同じ上流社会の田中奥様が彼女を知らないの?