575.藤堂社長の威厳、妻を守る実力

動画を投稿した人は慌てふためいた。彼は情報のないツイッターのサブアカウントを使っていたのに、藤堂澄人は彼の会社名と苗字を直接指摘し、さらに弁護士まで差し向けると？

まさか、藤堂という男は彼を脅しているだけに違いない！

彼は明らかに藤堂社長の圧倒的な力を過小評価していた。彼は命知らずにも藤堂澄人に返信した——

【誰を脅してるんだ？俺は噂を流しただけだぞ。弁護士を使って訴えるつもりか？】

彼は自分の情報が何も表示されていないから安心していたが、この投稿を見た多くの人は呆れた。

藤堂澄人のこの身内びいきな態度を見れば、黒を白と言い張ることだってできる。わざわざ脅す必要なんてあるのか？

藤堂澄人はもう返信しなかった。皆が藤堂澄人が追及を諦めたと思った時、投稿者は10分後に謝罪の投稿をした——

【藤堂さん、申し訳ありません。私が間違っていました。注目を集めるために藤堂奥様を中傷するべきではありませんでした。申し訳ありません。どうか許してください。】

九条結衣：「……」

謝罪投稿の下には、完全版の動画も添付されていた。あの二人の女性が九条結衣に挑発的な言葉を投げかけ、九条初が認知されていない私生児だといった不快な言葉で罵っていた場面まで、すべてはっきりと公開された。

藤堂澄人は返信しなかった。投稿者が謝罪した後、何度も藤堂澄人に mention を送ったが、すべて無視された。

代わりに藤堂お婆様がその謝罪投稿を引用リツイートした——

【謝罪で済むなら、弁護士は要らないわね？】

ネットユーザーはすでにこの投稿者の切り取り動画に嫌気がさしていた。さらにあの二人の醜い太った女性たちが人を侮辱する汚い言葉を聞いて、九条結衣が彼女たちを殴ったのは正当だと思った。

さらに九条結衣は今や藤堂グループ社長夫人という肩書きを得て、まるで金メッキを施されたかのように、彼女が人を殴ることさえも女性ヒーローの行為となった。

——藤堂お婆様可愛い、孫嫁を守る実力者。

——藤堂社長かっこいい、妻を守る実力者。

九条結衣は最後まで読んで、思わず笑みがこぼれそうになり、結局ツイッターを閉じた。

時計を見ると午後2時過ぎ。サンフランシスコはちょうど夜11時過ぎ。この時間にまだ仕事をしているの？