752.下賤な人の基準で自分を律する

彼女はしていない!

彼女が藤堂澄人のことをこれほどまで考えず、あらゆる手を尽くして彼を陥れようとするなら、私が冷酷になっても文句は言えないはずよ。

さっきの中村奥様が言うべきことをすべて言ってくれたから、私も力を温存できるわ。

「みなさんがそんなに中にいる男女が気になるなら、一緒に中を見に行きましょうか。」

九条結衣がそう言うと、黒崎芳美の顔色が一層青ざめた。九条結衣がドアを開けようとするのを見て、彼女は多くを考える余裕もなく、すぐさまドアの前に立ちはだかった。

「高橋奥様、何をなさっているんですか?中で恥ずべき行為をしているのは高橋お嬢様ではないのに、これは...他人のために身を捨てるということですか?」

彼女は目を細め、その瞳には嘲りと揶揄が宿っていたが、その奥に潜む危険な気配は藤堂澄人にも引けを取らなかった。