753.彼女たちに犬同士で噛み合わせる

しかし彼女は思いもよらなかった。九条結衣があのマークの付いたシャンパンを飲んで、計画が成功したと思った矢先に、こんな大きな展開になるとは。

薬を盛られるはずの人が何事もなくここに立っているのに、彼女の夕は...今部屋の中で苦しみ、さらに噂話まで耐えなければならない。

明らかに、母娘で九条結衣という賤人に弄ばれたのだ。そして彼女は、明らかに被害者なのに、まだ相手に頭を下げて許しを請わなければならない。

「私は...私は何もしていません。いつ私があなたを陥れたというのですか?あなたは何事もなくここに立っているじゃないですか。私が何を企んだというのですか?」

黒崎芳美は考えることもなく、すぐに否定した。

中にいるのが高橋夕だと認めれば、評判を失っても九条結衣に陥れられたと言えるし、夕には多くの熱心なファンがいて、彼らが一人一つずつ唾を吐けば、彼女を溺れさせることができる。