760.心が冷めた

母親の役割と父親の役割を比べてみると、やはり違いがあるものだ。

そう考えながら、彼女は乾いた唇を動かし、かすれた声で言った。「すみません、先に相談すべきでした……」

あなたの意見を……

後半の言葉を言い終える前に、藤堂澄人の「本当に俺のことを心に留めているのか」という言葉に遮られた。

彼の声に抑えられた怒りを感じ取り、九条結衣の心にも苦みが広がった。

やはり黒崎芳美のことなのか?

だから、彼女が薬を使って自分を台無しにしようとしたのに、仕返しをしてはいけないというの?

でも、あの時の彼女の潜在意識には、何をしても藤堂澄人は自分の味方でいてくれると信じていた。

彼女は目を伏せたまま、しばらく黙っていた。長い沈黙の後、少し意地を張るように口を開いた。

「ごめんなさい。」