791.心が広いね

西村信幸は今、副社長の座に甘んじているが、決して納得していなかった。

藤堂澄人は父親の死因に疑いを持ち始めてから、西村信幸を疑うようになった。

結局のところ、あれほど堂々と父親を殺し、当時の事件を簡単に隠蔽できたのは、父親のビジネスライバルだけでは不可能だったはずだ。

だから、この女優の後ろに西村信幸の部下がいると知った藤堂澄人は、自然と西村信幸のことを思い浮かべた。

このトレンド入りは、本当にあの女優が高橋夕を抑え込もうとして彼を巻き込んだだけなのか?

それとも、西村信幸の指示で、あの女優は完璧な隠れ蓑として利用されただけなのか?

藤堂澄人の目が危険な色を帯びて細められ、その瞳から漏れ出る冷気はさらに増した。

しかしすぐに、彼は目の中の冷たい光を悟られないように隠した。