そして続けて言った。「今朝、小林晋の息子が交通事故に遭って病院に運ばれ、輸血が必要になった時、我々のスタッフが彼がA型だと分かりました。しかし、当時保管していた小林晋の個人記録では、小林晋はB型で、小林晋の妻もB型でした。」
つまり、二人ともB型の両親から、A型の子供が生まれるはずがないということだ。
藤堂澄人は目を細めた。当時の飛行機には、父の他に二人のパイロットがいた。
パイロットが主に飛行ルートを制御していたため、当時のパイロットが最も疑わしかった。
しかし、それでも副操縦士の調査も怠らなかったが、最近になってようやくこのような大きな疑問点が発見された。
もし小林晋の息子が実子でないとすれば、当時行われたDNA親子鑑定の対象は小林晋ではなかったということになる。
しかし遺体は飛行機の残骸から見つかったということは――
「服部紀夫の血液型は?」
服部紀夫は、当時のパイロットだった。
「A型です。」
松本裕司は藤堂澄人が何を聞きたいのか分かっていたので、すぐに答えた。
飛行機の残骸から見つかった遺体が小林晋のものでないとすれば、それは服部紀夫のものしかありえない。
つまり、小林晋の息子とDNA鑑定で親子関係が判明した人物は、小林晋ではなく服部紀夫だったということだ。
当時死亡したのはパイロットの服部紀夫で、行方不明になったのは副操縦士の小林晋だったのだ。
「すぐに小林晋の妻を調べろ。彼女と服部紀夫がどういう関係だったのか確認しろ。」
「我々のスタッフがすでに調査に入っています。すぐに結果が出るはずです。」
松本裕司が言い終わるか否か、携帯にメールが届いた。小林晋の妻を調査していた者からのものだった。
松本裕司はそれを一読し、藤堂澄人に報告した。「社長、小林晋の妻が認めました。当時、服部紀夫と関係があったそうです。しかし子供が小林晋のものか服部紀夫のものかは分からなかったそうです。今回、息子の輸血の際に血液型が合わないことで初めて、息子が小林晋の子供ではないと確信したとのことです。」
これで当時死亡したのは副操縦士の小林晋ではなく、パイロットの服部紀夫だということが確認された。
だからこそ、これほど長い間、セキュリティシステムに服部紀夫の顔認証データを入力し、骨格認証まで行っても、服部紀夫の所在が分からなかったのだ。