877.藤堂社長が発狂した

「妊娠したぐらいで、大げさすぎるわ」

藤堂澄人はこの言葉を聞くと、すぐに妻を労わって、彼女を抱き上げてベッドの方へ向かった。

九条結衣:「……」

この数歩の距離ぐらいで抱っこされるほど疲れてないのに。

なんてオーバーなの。

心の中ではそう思いながらも、九条結衣は素直に夫に抱かれてベッドに横たわった。

「妊娠したんだから、ゆっくり休まないと。夜更かしもダメだし、普段も無理しちゃいけない。帰ったら、松本裕司に全ての書類を家に持ってこさせるから、俺が家で付き添うよ」

九条結衣:「……」

ただの妊娠なのに、そこまで大げさにする必要ないでしょ?

「必要ないわ、そんなに大げさにしないで」

九条結衣は心の中の言葉をそのまま口にした。

「俺の妻が妊娠したんだから、大げさにしてなぜいけない?」