900.お前に何が出来るというのか

「何が言いたいの?」

九条結衣は黒崎芳美の口から、もうこれ以上価値観を破壊するような言葉を聞きたくなかった。

この女は既に価値観を失っていた。藤堂仁の死について触れた時も、心の痛みや惜しむ気持ちは全くなく、ただ他人の不幸を喜ぶ気持ちでいっぱいだった。

「田中真斗は当時から藤堂グループを飲み込もうとしていたのよ。当時は基盤が不安定で、藤堂お婆様に懲らしめられたけど、今は違うわ。彼女はもう年を取って、今は病院に寝ているし、いつまで生きられるかもわからない。あなたといえば……」

黒崎芳美は九条結衣を上から下まで見渡し、高慢な態度で、目に浮かぶ軽蔑の色を隠すことなく、九条結衣に言った:

「あなたは藤堂澄人を後ろ盾にするしかない女。彼がいなければ、何もできないでしょう?」