951.飛べない金糸雀

重役たちは藤堂澄人の言葉を聞いて、瞬く間に目を輝かせた。

藤堂グループの従業員の給料は、同業他社と比べて1、2倍も高いことは周知の事実で、中間管理職以上ともなれば言うまでもない。

もしこの時点で更に倍増するとなれば、より一層士気が高まることは間違いない。

千の言葉よりも金銭が実効性があることを、藤堂澄人はよく理解していた。そのため、給与アップの話を切り出した後、本題に入った。

各部門は最近の部門運営状況について藤堂澄人に詳細な報告を行い、最後に彼の指示を待った。

「よし、基本的に問題ない。君たちの計画通りに進めてくれ。途中で修正が必要な細かい問題については、松本秘書から初お知らせする」

藤堂澄人は言い終わると、視線を他の藤堂グループの株主たちに向けた。

藤堂グループの株式は基本的に藤堂澄人が握っており、他の株主が保有する株式はそれほど多くない。その中で、田中真斗は20%を占めており、そのうち10%は黒崎芳美から買い取ったものだった。