「うわっ、そうだった。あの子は九条政の隠し子で、藤堂澄人の義理の妹じゃないか!」
「ということは...藤堂澄人は自分の義理の妹を告発したってこと?」
「隠し子なんて、どこが義理の妹よ。九条社長は認知してないでしょ」
「九条社長が認めようが認めまいが関係ないわ。藤堂社長が認めてるなら十分でしょ。自ら刑務所まで迎えに行ったじゃない。こんな待遇、普通の義理の妹じゃありえないわよ」
「上の人は素晴らしい洞察力ですね。マイクをどうぞ、続けてスピーチをお願いします」
「...」
このトレンドが出てから、藤堂澄人の離婚危機や義理の妹との不倫疑惑がネット上で広がり始めた。
多くの批判的な人々がネット上で罵り始めた。
「ふん!藤堂澄人なんてろくでなしだ。当時藤堂グループが危機的状況の時、妻は身重だったのに会社の危機を乗り越えるために頑張ったのに、帰ってきたとたん安心して義理の妹に手を出すなんて」
「男なんてみんなそうよ。新しいものに目がない。藤堂社長はまだマシな方じゃない?金も顔もあって、今まで奥さんと暮らしてきて初めての噂話でしょ」
「上の人の論理はおかしいわ。今まで噂がなかったからって、今から義理の妹と不倫していいって言うの?それで褒められる?」
「それにしても、藤堂澄人の趣味は特殊ね。家に有能で美人の奥さんがいるのに、刑務所上がりのおばさんが好きだなんて。木村靖子なんて今じゃ40代の女性みたいだし、たとえ18歳だったとしても、正室の半分の美しさもないでしょ」
「妻より愛人、愛人より浮気相手、浮気相手より義理の妹ってね」
「妻が妊娠中に浮気する男は最低!一生許さない!」
「藤堂澄人は義父と同じレベルね。どちらも妻の妊娠中に浮気する最低な男!」
「...」
藤堂家の庭で、九条結衣はパラソルの下に座り、使用人が今しがた運んできた牛乳を手に持ちながら、ネット上の話題をゆっくりと眺めていた。表情は物思いに耽るような様子だった。
傍らに置いた携帯電話は鳴り止まず、藤堂澄人が木村靖子を刑務所から迎えに行ったニュースがトレンド入りしてから、ずっと鳴り続けていた。彼女はついにマナーモードにした。
それでも電話は続々と掛かってきた。
九条結衣はため息をつき、表情に憂いの色が浮かんだ。