1031.不安と迷い

彼女はただ心の中で力不足を感じていて、やりたいことがたくさんあるのにできないという思いがあった。

これほど多くのことが彼女を押しつぶし、息苦しくさせていた。

他人の前では、彼女は誰に対しても恐れを知らないふりができるが、最も親しく、最も愛する男性の前では、すべての不満やプレッシャーを発散させたくてたまらなかった。

「違うの、あなたは関係ないわ……」

しばらくして、九条結衣は彼の腕の中で小さな声で話し始めた。

「ただ突然たくさんのことが起きて、対応しきれなくなってきたの。」

彼女は手を伸ばし、藤堂澄人の腰をしっかりと抱きしめながら、さらに小さな声で続けた:

「時々、こんな日々がいつまで続くのか分からなくて、不安になるし、迷子になったような気持ちになるの。」

彼女は唇を噛み、話した後、胸に詰まっていた重苦しい感情がそれほど強くなくなったと感じた。

「時には……もう何も管理したくない、放っておこう、というような消極的な気持ちになって、それが私をイライラさせたり、不安にさせたりするの……」

彼女は自分が何を言っているのかわからず、少し支離滅裂で、思いついたことをそのまま口にしていた。

藤堂澄人は九条結衣の気持ちを理解していた。時々、彼も同じような消極的な感情を抱くことがあった。

特に、彼が非常に嫌悪感を抱く女性に対応しなければならず、逆に自分の妻を冷たくあしらうふりをしなければならないことを考えると、この感覚は彼をとても不快にさせた。

しかし、このような消極的な感情は、彼はただ考えるだけで、長く持ち続けることはできなかった。

もし彼が消極的になったら、彼の周りの人々はどうなるだろうか?

彼に頼って生活している従業員たちはどうなるだろうか?

もし彼が黒幕を見つけ出さなければ、彼らが彼の周りの人々を傷つけたらどうなるだろうか?

彼は木村靖子が好きではなく、むしろ非常に嫌っていた。

おそらく、彼は確かに木村靖子を通さずに黒幕を調査する別の方法を持っているかもしれない。

しかし、無駄になる時間は?

もしその間に、他の制御不能な出来事が起きたら?

今、彼らはここまで来るのにどれだけのエネルギーを費やしたか、彼はどうして結衣に腹を立てることができるだろうか?

藤堂澄人は考えれば考えるほど自責の念に駆られ、九条結衣をさらにきつく抱きしめた。