そして道乃啓元の顔も包帯で赤く拭かれていた。
道乃啓元が怒りに任せて振り向くと、道乃漫が駆けてくるのが見えた。
道乃啓元は、道乃漫がなぜここにいるのか驚く暇もなかった。
今日が道乃漫の出所の日だということをすっかり忘れており、道乃漫が自分に向かって突進してくると思い、立ち上がった。
しかし道乃漫は方向を変え、道乃琪に向かって行き、手を振り上げて道乃琪の頬を激しく打った。
道乃漫の行動があまりにも突然で、誰も反応できなかった。道乃琪の隣にいた加藤正柏でさえ反応できなかった。
みんな道乃漫が道乃啓元に向かっていくと思っていた。
途中で突然道乃琪に向かうとは誰も予想していなかった。
道乃琪は道乃漫の平手打ちをもろに受け、倒れそうになった。
加藤正柏は顔色を変え、急いで彼女を支えながら「道乃漫、何を暴れているんだ!」と叫んだ。