013 道乃漫、何を暴れているんだ!

そして道乃啓元の顔も包帯で赤く拭かれていた。

道乃啓元が怒りに任せて振り向くと、道乃漫が駆けてくるのが見えた。

道乃啓元は、道乃漫がなぜここにいるのか驚く暇もなかった。

今日が道乃漫の出所の日だということをすっかり忘れており、道乃漫が自分に向かって突進してくると思い、立ち上がった。

しかし道乃漫は方向を変え、道乃琪に向かって行き、手を振り上げて道乃琪の頬を激しく打った。

道乃漫の行動があまりにも突然で、誰も反応できなかった。道乃琪の隣にいた加藤正柏でさえ反応できなかった。

みんな道乃漫が道乃啓元に向かっていくと思っていた。

途中で突然道乃琪に向かうとは誰も予想していなかった。

道乃琪は道乃漫の平手打ちをもろに受け、倒れそうになった。

加藤正柏は顔色を変え、急いで彼女を支えながら「道乃漫、何を暴れているんだ!」と叫んだ。