034 道乃啓元は人を連れて、急いで病院に駆け込む

「はい、はい、はい」夏川清未は何度も頷いた。「お母さんは必ず体を治して、早く退院して、美味しいものを作ってあげるわ」

母親のいない子供は、愛情を受けられない。

たとえお金がなくても、道乃漫を愛する心はある。

できる限り道乃漫を大切にしたい。

彼女の体が弱いせいで、道乃漫を支える人がいなくなり、道乃家で虐げられることになってしまった。

お金のことを考えると、夏川清未の心は沈み、悩みが募った。

お金のためにも、早く退院しなければならない。

入院費用は高額で、道乃漫の負担が大きすぎる。

「漫」夏川清未は言った。「退院したら、私と一緒に住もうね」

道乃漫は嬉しそうに彼女を見つめ、目が赤くなりながら、喉が詰まりそうになりながら強く頷いた。「うん」

「実は言わなくても、お母さんが退院したら、一緒に住むつもりだったの。お母さん一人じゃ心配で」

夏川清未は笑いながら頷き、この子に申し訳ないことをしたと思った。

彼女のためを思って道乃啓元と離婚した後、道乃漫が苦労するのを恐れて、引き取ることを拒んでいた。

離婚後は何も持っていなかったし、自分で働いてお金を稼がなければならなかった。

十数年も専業主婦をしていた彼女は、時代についていけず、仕事といっても家政婦くらいしかできず、道乃漫をちゃんと世話することはできなかった。

一緒に暮らせば、道乃漫は食事にも困るかもしれない。

そうでなければ、母親が自分の子供と離れ離れになり、継母と暮らさせることなどできるはずがない。

道乃啓元が自分に冷たくなっても、少なくとも道乃漫は実の子供だから、ないがしろにはしないだろうと思っていた。

しかし、道乃啓元は畜生同然で、夏川清翔の娘のために、道乃漫をひどく虐げていた。

道乃漫を引き取ろうとした時、心臓に大きな問題が見つかり、入院することになってしまった。

今になって思えば、道乃漫は道乃家にいるより、自分と一緒にいた方がましだった。

道乃漫は苦労を厭わない子で、少なくとも自分と一緒にいれば心は軽かっただろう。

ずっと自分の考えが間違っていた。

今の道乃漫が嬉しさのあまり落ち着かない様子を見て、夏川清未は当初から道乃漫を連れて出てくるべきだったと後悔した。