このとき、多くの警備員も入り口に集まり、厳戒態勢を敷いていた。
ドアの小窓から、夏川清未はそれを見ることができた。
「いけない、見に行かなきゃ」夏川清未は点滴を打っている最中だったが、気になって仕方がなく、ベッドから降りて外に出ようとした。
柴田叔母は急いで彼女を止め、「行かないで、武田に任せましょう。あなたは今点滴中だし不便だわ。それに武田は男性だから、何かあっても対処しやすいでしょう」と言った。
柴田叔母は本当に夏川清未のことを気に入っていた。
普段、夏川清未が道乃漫と話すのを聞いていると、母娘二人の状況がとても厳しいことが分かった。特に夏川清未が入院してからは、すべての負担が道乃漫一人にかかっていた。
しかし、それでも母娘は決して背筋を曲げることなく、依然として生活の困難に立ち向かっていた。
自分の境遇を天や人のせいにすることもなく、否定的な感情に影響されることもなく、誰かに会うたびに自分の不幸を嘆くこともなかった。他人が良い暮らしをしているのを見ても妬むことなく、ただ自分も頑張らなければと自分に言い聞かせるだけだった。
また、頼る人がいないからといって、邪な道を考えることもなかった。
特に夏川清未は離婚して獨身で、年齢もそれほど上ではなく、気品があり、容姿も良かったので、彼女が望めば、実際に頼れる男性を見つけることは十分可能だった。
相手が既婚者であれ離婚者であれ。
妹の夏川清翔のように、面子さえ捨てれば、今はうまくやっているではないか?
しかし夏川清未はそうしなかった。むしろ武田とも適度な距離を保ち、言動のすべてが人を安心させ、心地よいものだった。
そのため、柴田叔母も武田が手助けに行くことを特に心配していなかった。
「そうだね、僕が見に行くよ。君たちはここで待っていて、何か音が聞こえても軽々しく外に出ないで、僕が戻ってくるまで待っていて」と武田志贵は言った。
夏川清未は彼らの好意を断れず、丁重にお礼を言った。「武田兄貴、柴田姉、本当にありがとうございます」