092 知り合いなの?

午後、柴田叔母がトイレに行った隙に、道乃漫は夏川清未にこっそりと言った。「お母さん、柴田叔母さんはいつもお世話になってるし、明日退院だから、何か贈り物をしたいんだけど」

「そうね」夏川清未は大賛成で、「何か気持ちを表すべきね」

ただし、何を贈るかが問題となった。

彼女の病気のために、まだ神崎卓礼にお金を借りているし、余裕もない。

「でも、何を贈ればいいの?」夏川清未も困り果てた。

道乃漫は少し考えて、「じゃあ、私が帰って何かお菓子を作るのはどう?持ち運びも便利だし」

夏川清未もそれはいい考えだと思った。

道乃漫は家に帰って夏川清未の夕食を準備する際に、ついでに中華菓子も作り、周村成辉と篠崎汇人の分も多めに作った。

残念ながら道乃漫は知らなかったが、最近二人に用意した料理は全て神崎卓礼に横取りされており、今夜の菓子も例外ではなかった。

今日は周村成辉が道乃漫を家まで送り、道乃漫が作った綺麗な菓子を目の前にして、食欲をそそられ、何度も唾を飲み込んだが、自分のものなのに食べられないとは、何とも悔しかった。

***

道乃漫は夜はいつも病室に泊まり、夏川清未の付き添いをしていた。

そのため翌朝早くに目覚め、一度家に戻って冷蔵庫から昨夜作ったお菓子を取り出した。

戻ってくると、ちょうど病室から笑い声が聞こえてきた。

「柴田姉貴、息子さんは本当にハンサムですね」夏川清未の笑い声が病室から聞こえてきた。

「あの子はね、普段仕事が忙しすぎて、私が入院してても頼りにならないのよ」柴田叔母は文句を言いながらも、明らかに息子を誇りに思っている様子だった。

「忙しいのはいいことよ。若い人が忙しくて、向上心があるのは立派なことじゃない。能力がなくて、毎日暇を持て余してるほうが、心配で仕方ないわ。それに、この子はとても親孝行じゃない」夏川清未は笑って言った。「忙しくても、あなたたちのことを一生懸命に面倒見てるわ」

「そうね、忙しくても親孝行は欠かさないから。だから私も理解してるの。そうじゃなきゃとっくに勘当してるわよ」柴田叔母は自分の子供が良いと思って、得意げに言った。

自分で文句を言うのは良いが、他人が何か悪く言おうものなら、怒り出すところだった。