077 私には自信がある

道乃漫はすぐにファイルを開いて見ることはせず、こう言った。「もしこれがまだ公開されていない資料なら、この部屋を出た瞬間に、中身を全て忘れることをお約束します。」

武田立则は満足げに頷いた。道乃漫のこの発言で、彼女を採用しようという気持ちが半分以上固まった。

「ですが同様に、私の提案した企画も、私の許可なく勝手に使用しないでいただきたいと思います」と道乃漫は提案した。

武田立则は少し意外そうな様子で、「そんなに自信があるのか?君の企画が私を満足させられると?」

「はい」道乃漫は躊躇なく頷いた。「その自信はあります」

武田立则は道乃漫を見る目がますます好意的になっていった。「よし、約束しよう。たとえ採用しなくても、君がこの部屋を出たら、君の企画も忘れることにする」

道乃漫は微笑んで礼を言い、やっとファイルを開いた。

それは所属の森田林という男性タレントについてだった。彼は見た目は平凡だが、独特のユーモアのセンスで多くのファンを持つ人気者だった。しかし、既婚者でありながら不倫をし、離婚の事実を隠していたことで人気が急落していた。

「森田林は我が社の株主の甥でね。だから会社としても簡単には見捨てられない。株主から広報部に指示が来ていて、森田林を再び売り出す方法を考えろということだ」と武田立则は説明した。「もしこの案件を君に任せたら、どうする?」

「どれくらいの時間をいただけますか?」と道乃漫は尋ねた。

「30分だ」と武田立则は言った。「完璧な企画である必要はないが、おおまかな方向性は示してほしい」

道乃漫は頷き、考えながら無意識に椅子の肘掛けを指で叩いていた。

武田立则も邪魔をせず、静かに待っていた。

30分が経過し、道乃漫は顔を上げて言った。「考えがまとまりました」

「今、話題作りをしようとすると、大体カップリングを組ませることが多いですよね」と道乃漫は切り出した。

その出だしを聞いて、武田立则は少し失望した。

それは古い手法で、何の工夫もない。もしそんな簡単なことなら、わざわざ道乃漫に試す必要もなかったはずだ。

それに、森田林の状況は特殊だ。