広報部に関係があれば、彼らの部署に心の準備をさせるために知らせてくれるはずだ。
葉月星は不機嫌な顔のまま社長秘書室に着いた。
「どうしてここに来たの?あらまあ、そんな怖い顔して、誰に怒ってるの?」葉月香音は葉月星が入ってくるのを見て尋ねた。
「私たちの部署に今日、最低な女が来たの」葉月星は歯ぎしりしながら怒りを露わにし、まるでその場で道乃漫を噛み砕いているかのようだった。
「声を小さくして。社長に聞こえたら、私にはあなたを守れないわよ」葉月香音は葉月星の腕を引っ張った。
葉月星は慌てて口を閉じ、緊張した様子で尋ねた。「社長はいないでしょう?」
葉月香音は彼女を白い目で見て、「オフィスにいるわ。もし外にいて、あなたの言葉を聞いていたら、即刻クビにされていたわよ。私なんて小さな秘書じゃ、あなたを守れないわ」
「分かったわ」葉月星は呟き、胸をなでおろした。「いないなら良かった」
「一体何があったの?」葉月香音は彼女に尋ね、引き出しからポテトチップスを取り出した。上司に見られなければ、こっそりおやつを食べても問題ないはずだ。
葉月星は一枚つまんで激しく噛みちぎった。「私たちの部署に今日、新入社員が来たの」
「知ってるわ。道乃漫でしょう?この前、彼女のお父さんが騒ぎを起こしに来たわよね。入社前から会社で有名になっちゃって、知らない人はほとんどいないわ」葉月香音も一枚つまんで食べた。
「そう、彼女よ」葉月星は口を尖らせた。「図々しい女ね。来た初日から武田部長に色目を使うなんて」
「本当?すごい度胸ね!」秘書室の他のスタッフたちも集まってきた。
「この目で見たのよ。嘘なわけないでしょう?恥知らずね。どんな手を使ったのか知らないけど、武田部長が彼女の手首を握るなんて。しかも会社の中よ。同じ部署なのに、自分の魅力をアピールしたいのかしら?」葉月星は唾を吐くように言った。「厚かましい女」
「そんなに大胆なの?」同僚は感嘆した。「あなた、武田部長のことを...ねえ?武田部長は彼女のことをどう思ってるの?」
「武田部長が彼女なんかに目をくれるわけないでしょう!冗談じゃないわ!」葉月星は痛いところを突かれたかのように反応した。
藤井天晴は十分に話を聞いたところで、神崎卓礼のオフィスに入った。